2009/12/16

一般質問報告と常任委員会報告


 川口市議会12月定例会は、10日(木)まで市政に
対する一般質問(以下、質問内容を掲載)が行われ、
15日(火)に、各常任委員会に付託された議案に
ついて審議をしました。
 さらに、18日(金)にはすべての議案に対する採決を

します。
 さて、総務常任委員会の質疑では、12月補正予算の

一般会計歳入で繰越金約10億円の追加をしますが、
これは昨年の決算剰余金からで残額は約24億円
しかなく来年度の財源不足の補てんに充てることを
財政課長から答弁がありました。
 また、12月補正予算に計上した根拠として、国、県
からの特定財源(国庫補助金など)の残額部分を
補てんするためとしている。つまり、国の補助率が
低ければ、仕事量と市の負担額は大きくなってしまう
というわけであります。
 常任委員会に付託された議案は、事前勉強会で
議案内容を確認、質疑したのち、各会派に持ち帰り
疑問点を精査し、さらなる疑問点や要調査事項に
関しては常任委員会で質疑をする形となっています。

よって、議案によっては、国の法律改正に伴う、条例
の項番変更しかないなど、審査しようがないことが
よくあります。今回ですと、議案第116号の「川口市
消防団員等公務災害補償条例の一部を改正する条例」
がその典型例です。
        しらねの一般質問(一部)から

Q.現行の行政評価方法と市民に予算の見える化(「事業仕分け」
  の導入)について
 
・「事業仕分け」を本市ではどのように考えているのかについて問い、

 Ans.国や地方自治体が行っている事業を、その必要性や実施主体
 について公開の場で議論する「事業仕分け」は、住民が税金の
 使われ方を改めて知ることができ、さらには仕分けによって事業の
 ムダを削減できるなど、一定の効果があると考えます。 
  しかし、事業は必ずしも単独で実施されているとは限らず、他の
 事業と補完しあいながらその成果が表れるものもあるため、一つの
 事業を縮小又は廃止をした場合に、政策全体のバランスを崩す事
 が懸念されます。このため、「事業仕分け」は予算削減などの効果
 が見込める一方で、実施にあたっては、仕分けが及ぼす影響に
 ついても十分に検証が必要であると考えております。
   と市長から答弁がありました。 

・次に、内部評価制度をどのように考えているのか。また、(市民への
 評価プロセスと予算編成の見える化を図るためにも、)外部評価や
 事業仕分けの導入を検討してはどうかについて問い、

 Ans.現在本市では職員自らが評価を行う「内部評価」を実施して
 います。この評価によって、施策や事業の必要性、成果などに
 ついて議論や検証を行うことで、改めて市民の視点に立った
 行政サービスを提供できるものと考えています。しかし、評価の
 客観性や透明性において不十分であるとの認識から、外部の
 有識者の方々の視点を取り入れた「外部評価」の導入を検討
 しており、来年度に実施する予定であります。このため、まずは
 外部評価を活用した行政経営に努め、事業仕分けについては、
 既に実施した自治体に担当職員を派遣し研究するなどしており、
 引き続き調査の上、その活用について見極めて参りたいと存じ
 ます。

 ←コメント:前々号の市政報告でレポートした、現行の行政評価
       方法の問題点<20年度に実施された事業で は90%
       近くを「目標達成」「改善されている」と評価を下している
       のに、なぜ多くの改善点を求め今年度も 市民・議員
       から市政に対して要望がくるのかそもそも疑問である>
       を指摘したことについての質問でした。 
        今後の課題としては、この外部評価の有識者が
       「御用学者」や市政の利害関係者が参加しないで、
       オープン な場での議論ができるかどうかです。今後とも
       この行方をしっかりチェックしていかなければなりません。
        また、「事業仕分け」の答弁では、“事業は必ずしも単独

       で実施されているとは限らず、他の事業と補完しあい
       ながらその成果が表れるものもあるため、一つの事業を
       縮小又は廃止をした場合に、政策全体のバランスを崩す
       事が懸念され”ると、市長は述べましたが、実際にどの
       ような事業が政策全体のバランスを崩す事業なのか少し
       わかりにくい答弁であり、自身の反省点としてもう少しこれ
       についても問うべきでありました。ただ、この事業仕分け
       については、ベテラン議員からは“前向きな答弁だったぞ”
       と議場から言葉をか けて頂いたことからも、再来年度
       からの厳しい財政運営(1年間の市債発行額が市債など
       の償還金を上回る)を乗り切る打開策としても市長は
       多少なりとも導入検討について考えていることがわかり
       ました。
<ブログのみのコメント:民主党会派では、情報や予算編成等の
  プロセスの見える化をこれまで強く要望をしてきました。今月
  、24日から開催される任意合併協議会でも、経過内容を
  リアルタイムまでとは言わないまでもできる限り早く専用
  ウエブサイトに更新し、市民が途中経過を確認できるように
  総務常任委員会で担当部局に要望をしました。

Q. 「緊急雇用対策」として本市独自のスキルアップ就労支援について

 ・総務省の労働力調査によりますと、7月から9月までの期間で、
パート・アルバイトや契約社員等を含む非正規労働者数は、1743
万人であり前年比では減少しています。ただこれは、正規労働者
数も同様に減少しており、雇用全体で減少しています。雇用形態が
依然非正規雇用体制(特に、契約社員急増)であります。そこで、
生活の安定のためにも業種にもよりますができる限り正社員雇用の
促進を本市でも企業に働きかけをして頂きたい。
 また、国では「働きながら資格をとる、介護雇用プログラム」の事業
が始まりましたが、神奈川県横須賀市でやっています、「長期に安定
した就職を求める求職者には、スキルアップ(職能訓練・職業訓練など)
・資格取得などを支援する就労支援」などを本市でも検討はできない
のかと問い、

 Ans.本市でも、職業訓練や資格取得できるスキルアップを希望する
  人が多いことは認識しており、今後(国などの動向を見て)制度の
  内容や要件等を十分に調査・研究して参りたいと答弁がありました。
 
 Q.子育て支援のさらなる拡充として、認可保育所の空き状況確認
   システム導入(見える化)検討について
 
 ・厚生労働省の平成19年地域児童福祉事業等調査結果では、児童の
 保護者からのアンケートによると、施設を選ぶために必要な情報に
 ついて、当該情報が不足していた世帯が「もっと詳しく知りたかったこと」
 をみると、「認可保育所」に関しては、「入所定員や空き状況等」が70.7%
 で最も多い結果でした。これは、市内で児童をもつ保護者からも多くの
 改善要望を頂いている中で、市民が本市のウエブサイト上にアクセスして
 認可保育所の空き状況を確認できるようなシステムの導入を検討して
 もらえないかを問い、

 Ans.今後は、…他市の事例などを参考にしながら、保護者への迅速で
   正確な情報提供の在り方について研究して参りたいと答弁があり
   ました。

 ←コメント:市政報告アンケートからの要望が多かったので質問させて
       いただきました。川口市周辺の自治体、東京都23区では
       ほぼすべての自治体で認可保育所の空き情報を開示して
       います。県内の近隣自治体では、草加市や蕨市などがあり
       ます。日中は仕事の都合上、市役所まで出向けない
       保護者が多い現状を考えると、空き情報をウエブ上に公開
       するのは当たり前の事であります。

 Q.持続可能な低炭素都市実現に向けて、太陽光発電などの
  新エネルギー補助金の適用範囲と助成金拡大について

 ・国は、再生可能エネルギー利用促進により、エネルギー分野での
 新たな技術開発・産業育成をすすめ、安定した雇用を創出するために
 導入した、再生可能エネルギーによる発電量の余剰分の電力を
 電力会社が、一定期間一般住宅では、1kw時48円を買い取るという
 固定価格買い取り制度を11月1日からスタートさせました。
  また、政府は来年度をめどに、「余剰分」だけではなく「全量」の
 買い取りを現在検討しています。エネルギーを自給自足して化石
 燃料からの脱却をする事で、CO2など温室効果ガスの削減に
 大きく寄与する政策ではありますが、問題は本市の補助金額が
 他の自治体と比較して小さいことです。設置費用にはまだ数百万円
 がかかるなど補助金の利用がなければ設置が難しいのが現状です。
  また、「新エネルギー」は太陽光やガスでエンジンを動かして発電・
 湯を沸かすシステム以外にも、水素と酸素を化学反応させる家庭用
 の燃料電池等があり補助金の適用範囲と助成金の拡大ついて問い、

 Ans.太陽光発電など新エネルギーを利用した温室効果ガスの削減は、
  非常に有意義であると考えております。本市としても、地球高温化
  対策は喫緊の課題と考えておりますので、更なる温室効果ガスの
  削減に向けた、新エネルギーシステムに対する補助制度の充実に
  努めて参りたいと 市長から答弁がありました。


 Q.「学校ICTへのコスト削減をして将来を担うこどもに教育の充実を」
 では、

・MS製品をはじめから仕様書に記載をしているなど、ソフトウエアの
 オープン化をせずに、予算の無駄遣いをしている事を質し
 (箕面市の例をあげると、中古パソコンにOSをLinuxにして、
  表計算や文書作成ソフトは、OpenOffice.Orgの利用でイニシャル
  コストは、MS製品の1/10以下になり、ランニングコストはゼロも
  可能とのこと)

Ans.Linuxなど、オープンソースソフトウエアでコスト削減を強く要望
   しました。
 
 ←コメント:本市では給食費の値上げを検討中との事だが、まず
       こういうムダの削減を検証をしてから考えるべきでは
       ないのか!

2009/12/07

12月9日(水)15:30分~一般質問をします

 12月定例会が開会しております。
一般会計で障害者自立支援給付事業等21億4,162万7千円の補正
などを審査しています。
また、中小企業推進条例(案)について現在関係委員会の議員を中心に
勉強会が開催されています。
初の議員立法ということで、条例そのものや言葉の定義を含めさらなる
研究が必要と考えますが、 “理念”でなく、“実態”に即したもの
にできればと、しらねは考えています。

 ところで、12月9日(水)15:30~@議会議場(市役所2階)で
市政に対する一般質問を行います。 議題内容は、以下の通りです。


1.現行の行政評価方法と市民に予算の見える化(「事業仕分け」)の
  導入を

2.「緊急雇用対策」として本市独自のスキルアップ就労支援を 

3.子育て支援のさらなる拡充に向けて
 a. 保育施設の空き状況確認システムの導入検討について
 b. 保育料未納・滞納問題について

4.埼玉高速鉄道の今後に関して

5.体系的な地域公共交通の在り方の研究を    
 a. 公共交通の全体計画策定と個別計画策定について
 b. コミュニティバス実態調査結果について

6.学校ICTへのコスト削減をして将来を担うこどもに教育の充実を

7.持続可能な低炭素都市実現に向けて
 a. 太陽光発電の新買取制度にともなう太陽光発電促進付加金
   対策と 新エネルギー発電に対する補助金制度拡充について
 b. 生ゴミ処理からバイオマス(バイオガス)化について 

8.地域の問題に関して
 ~本市発祥であるターゲットバードゴルフ場の推進を~


 ところで、先月の22日、23日の休日で奈良市(人口36万8654人
<11月現在>の中核都市で、 来年5月には平城遷都1300年記念事業を
予定している歴史的都市)役所では、構想日本(政策批判や抽象的な
理想論ではなく、具体的な問題点や仕組みを熟知する人たちと議論を尽くし、
十分に実行可能な政策提案を行う独立系非営利シンクタンク。 また、国の
事業仕分けや全国の自治体の仕分け作業をフォローしている。)の協力を
得て事業仕分けが行われました。

 奈良市では、今年7月に誕生した新市長が同市の3000億円もの
膨れ上がった借金を早期に再建し、次世代へこのツケを残さない
ためにも徹底したムダの洗い直しが必要であること、また、 行政が
担う範囲はどこまでかと、市民と行政の協働ができる範囲はどこまで
なのかなどを徹底的に議論し、役割分担を再検討し質的向上を
図るために事業仕分け導入の意義を市長から説明がありました。
 この事は川口市も大概でなく、一般会計、各種特別会計、企業会計
や土地開発公社の長期借入金残高の約499億円を加えると2008
年度末までで約2538億円の借金があり、また経常収支比率では
70%~80%が妥当とされているところで89.7%<前年比88.9%>
(☞人件費や公債費など経常的な支出に対して、市税などの経常的収入がどの
程度充当されているかを示すものです。必ず支出するお金の割合が高ければ、
新しい事業をする余裕はありません。)と、本市独自の自由な施策が打ち
出せない状況に陥っています。
 現下の状況を打開するためにも、まず行政のムダを省く手段として
事業仕分けを実施し、財政構造の弾力化を高め、市民サービスの
向上に繋がる施策を打ち出す事が重要です。

 そこで、しらねは同僚のみつた議員とともに奈良市の事業仕分けの
ナマの現場を視察してきましたので、 以下報告をします。

 まず、事業仕分けの対象として、市全体1500事業のうち、人件費を
除く事業で事業の実施と執行にあたり、事業範囲、経費等について、
市の裁量余地がある事業、外部の視点から意見を聴く必要のある
事業などの費用が500万円以上など一定の条件に沿って、各部課
などが60事業(総事業費約49億5千万円)を抽出したとのことです。   
 仕分け作業は3ワーキンググループに分かれ、各WGで「構想日本」
の仕分け人チームの3人と、公募市民2人、コーディネーター1人の
計6人で構成され、議論しました。

 1つの事業の仕分け作業は30分間で、市の担当者の説明後、
20分の質疑をし、多数決で、「不要」 、「民間が実施」、「国・県が実施」、
「市実施(市民の協力等を得て民間委託を拡大)」、「市実施(要改善)」、
「市実施(現行通り)」の6区分で判定しました。判定に際し区分が
分かれた場合は、コーディネーターが最終ジャッジをします。結果は
原則として、来年度の予算策定に反映させる方針で、これらの事業
仕分けをすることで約3億1000万円の予算の削減が見込まれるとの
ことです。ただ、強制力はなく、市長らがあらためて協議し、検討を
するとのことです。
 
 事業結果例として、「不要」と判定された事業は、コールセンター設置
経費(総事業費約4230万円)、男女共同参画センター管理運営事業
(総事業費約7800万円)などの14事業、「民間が実施」とされたのは
・奈良ブランド発信事業(同約2670万円)やJR奈良駅駐車場管理
経費(同約9920万円)の2事業になりました。

翻って、川口市の行政評価方法を見てみると、平成20年度から本市
の最上位計画として位置付けられている「川口市総合計画」における
基本計画の中柱と位置付け、施策を実施した翌年度に評価を、
市職員自らが担当事業を自己評価する、内部評価方式で実施して
います。
事業仕分けは勿論の事、外部評価さえもしていない現状を考えると
問題があると言えます。
 最新の「平成21年度行政評価結果報告書(平成20年度実施事業)」
は本市のウェブサイトでも公表されていますが、88施策を選定し
19年度と対比し9割近くが、目標を達成、改善されていると評価を
下しています。
 また、事業別では716の個別事業を評価しましたが、
見直しと評価したのが26事業と全体の3.6%しかないなど驚く
ような結果となっています。というのも、自己で設定した目標と
数値目標や前年度対比等の評価なので、結果は甘く出てしまいます。          
 予算の執行率への評価や(88施策中たった2施策しか実施して
いない)市民意識調査が評価反映されていないなど、自己満足の
世界で終始しているところに問題があります。今後の改善策として
外部からの評価を導入することや市民へ評価プロセスと予算編成の
見える化を図るためにも事業仕分けなどの重要性を今12月議会で
訴えていきたいと思います。
 加えて、現在市役所職員が市税滞納者宅へ税の徴収をしていますが、
事情があって支払えない世帯の方は別として、悪質な滞納者は
許されるべきではありませんが、ただ徴収された税の使い道がわから
ないなどの市民の不満があるのも事実です。