2010/01/29

埼玉高速鉄道への財政支援問題


 昨日と本日の新聞報道によると、埼玉県は
埼玉高速鉄道(株)<SR>へ今後10年間をめどに、
埼玉県と沿線3市(川口、鳩ヶ谷、さいたま市)で直接
貸付(10年間で、県:約232億円、3市合計:約116億円
<内、川口市分は70億円>、合計:約348億円)を
行う予定であるとのことです。
 川口市の岡村市長も、やむを得ない措置としてこの
方向に同意すると思われます。

 このことについて、行政側(都市交通)とのヒアリング
した結果、自分なりの考えを雑駁ながらまとめてみま
した。

 第3セクターであるSRへこれまでの財政的支援は、
平成15年から21年度(7年間で)、川口市分では、
出資金額が約46億円と補助金額が約15億円を負担
していました。平成21年度の決算見込みで、償却前
損益が前年度と同様に黒字になる見通しで、単年度
でみると現下の不況で他の鉄道会社でも厳しい決算
の見通しがある中では決して悪い状況ではないと
考えます。
 ただ、SRの最大の問題は、多額の有利子負債
(約1428億円平成21年3月現在)を現在も抱え
おり資本費を圧迫させていることです。また、
平成21年度までは、各自治体が補助金という形で支援
をしてきて、これは主に鉄道建設費(主に鳩ヶ谷駅以北)
の利息分に充てていたため、平成22年度以降では、
償却前黒字の達成により、この補助金的支援がなく
なります。
 これに対して、補助金ではなくこれら関係自治体が、
SRへの安定的な運営を期待し、同社へ貸付を今後10
年間行うというもので支援するということです。
 つまり、SRは単年度みていくと多少なりとも黒字傾向に
あるが、有利子負債(借金)の利息払いが多すぎるため、
経営が圧迫されている状態である。ただ、将来に対して
の発展(SRの増収益)を見込んで関係自治体が投資を
することと、市民への安定的公共交通輸送を提供できる
ようにするため支援をする、ということではないでしょうか。
 今後、SR最大の株主である埼玉県の方針に従い、
川口市でも3月議会でSRへの出資金平成22年度
負担分約8億円をめぐって審議をします。問題は、
行政がSRという半民間会社だけにこのような多額の
出資金(公的な資金、税金)を拠出することに対して、
市民からの理解が得られるのかということです。
ただ、SRがなくなってしまっては、そちらの方が代償
大きいものと考えますので、沿線開発により、SR駅
周辺を活性化させて、経営を安定化させるため将来
への投資と考え支援をしなければならないと思います。
 また、東京メトロとのさまざまな面でのタイアップ
(駅チカ、区間限定割引運賃制度<値下げ>などを
提案)をして、東京、横浜からヒトの往来を考え利用
促進を真剣にしなければSRの今後はないと言っても
過言ではないと思います。

2010/01/19

民主党埼玉県連「新春の集い」から


  昨日18日は、恒例の県連新年会が開催された。
まず、例年と違うのは、医師会やJAなど各種団体の
県連トップのご来賓あいさつが多かったことだ。
政権交代とはこういうことかと実感した瞬間だった。

さらに、今年夏に行われる参議院通常選挙の埼玉県
選挙区内定候補者が発表された。

現職の島田ちやこ氏と
新人で川口市出身の大野もとひろ氏である。

大野氏は、(財)中東調査会の上席研究員であり、
中東情勢のエキスパートである。今後、ぜひ氏から
基調講演をして頂こうと思っている。

第2回川口市・鳩ヶ谷市任意合併協議会報告

表①
(3)主要財政指標(平成20年度)

 昨年の12月24日に、「第1回川口市・鳩ヶ谷市任意
合併協議会」が開催されて以来の2回目となる川口市・
鳩ヶ谷市同協議会が、1月18日(月)川口市役所
大会議室で開催されました。両市から協議会委員で
ある市長、副市長、市議会議員、行政関係部署を代表
して各市13人ずつ代表出席し、以下の2件の報告事項
と4件の事業報告がなされました。
 まず、協議事項として「合併協議の基本方針を踏まえ
今後の協議の流れについて」と編入合併を前提と
して川口市の制度に「電算システム」や「条例・規則等
取扱い」などの各業務を一元化させるための調整案
作成することを約束した「川口市と鳩ヶ谷市との合併
伴う事業の一元化について」の報告説明があり了承
されました。
 続いて、概要及び事業報告の中で、「編入合併の概要

について」、「川口市と鳩ヶ谷市の概要について」と広報
関係の事項について説明があり、いくつかの質問があり
ましたので、以下Q&A方式で報告をします。

Q1. 編入合併(鳩ヶ谷市が川口市に吸収合併される
   こと)になると、編入される鳩ヶ谷市の議員は、
   どうなるのか。また、合併後の議員数はどうなる
   のか。

Ans. 鳩ヶ谷市の議員は全員失職し、川口市の議員は
    そのまま。編入された合併関係市町村の区域
    (鳩ヶ谷区域)で、選挙区を設けて編入合併特例
    定数による増員選挙(任期は編入先つまり川口市
    の残任期間)を行うことができる。更に、合併特例
    法により、合併後最初に行われる一般選挙に
    おいて定数を増やすことができる。

増員数=編入する市町村の議員定数<川口市40人>
      ×(編入される市町村の人口<鳩ヶ谷市
      58,355人>÷編入する市町村の人口<川口市
      480,079人>)で算出すると、5人(4.86を四捨五入)
        になる。*人口については、H.17の国勢調査人口による。
 
 川口市の次期市議会議員選挙は来年の4月~5月の
間に行われるので、もし両市の合併が次期市議会議員
選挙前に完了すれば、鳩ヶ谷市の現行市議会議員18人
は、特例により選挙区を設けて5人まで当選可能となる。
つまり、次回以降の川口市議会議員の定数は、
旧川口市分で40人、一方旧鳩ヶ谷市分で5人の計45人
までが可能となる。
 ←コメント:合併のメリットとも言われる1つとして、議員

       定数が減ることにより、市の行財政コスト
       カットにつながることになる。さらに、太字
       下線で 強調したようにあくまで議員“定数を
       増やすことができる”規定なので、将来的に
       40名とさらに減少させることも可能になる。
       合併後の行財政のスリム化では、まず議員
       自らを削減(40名に)することを優先と考え
       る。

Q2. 川口市・鳩ヶ谷市の財政規模はどのくらいなのか。
    また、合併後の指数はどのような数字に変化する
   のか。

Ans.表①の、財政基盤の強さを示す財政力指数は、
   川口市が1.062、鳩ヶ谷市が0.821で数値が1に近く
   、1を超えるほど財政に余裕があるとされ、川口市
   では地方交付税交付金の不交付団体となって
   いる。
   ちなみに、埼玉県内市町村平均は0.84、全国市
   町村平均は0.55である。ただ、この財政力指数は、
   総務省が地方に地方交付税交付金の配分の
   有無に利用される数値なので必ずしも団体の
   財政力を正確に表したものとは言えない。
   
   財政構造の弾力性を判断するための指標である
   経常収支比率は、川口市が89.7%、鳩ヶ谷市が
   92.7%で一般的には、70%~80%に分布するもの
   とされ、数値が高いほど財政構造が硬直化して
   いる。ちなみに、埼玉県内の市町村平均は89.6%、
   全国市町村平均は89.8%であり、川口市では
   財政の硬直化、つまり国、県以外の市が単独に
   できる事業が自由にできないほど厳しい状況

   ある。


   実質公債費比率は、川口市が13.3%、鳩ヶ谷市が
   9.0%で18%を超えると地方債許可団体に移行
   することになり、25%を超えると単独事業の起債が
   認められなくなる起債制限団体となる。県内市町村
   平均は、9.4%で、全国市町村平均は、11.8であり、
   川口市は県内・全国平均より数値が高くなって
   いる。

    次に、岡村市長から「合併後の指数はどう変わる
   のか」という質問には、事務局から「3カ年平均値で
   出しており、すぐには計算できないので後日
   お知らせする」と答弁。さらに、市長からは、「事前に
   委員に対し資料を配布しこの協議会の場で(資料の
   数値等を使って合併是非を含めた)議論ができる
   ようにして欲しい」と説明報告に終止してしまって
   進捗が遅い協議会の体制に不満を述べる場面も
   あった。

    また、任意合併協議会専用のホームページを
   開設する ことが確認された。
   特徴として、まず両市の公式市のホームページ
   からもリンクで入れるようにするにすることと、
   できる限りリアルタイムに情報が更新されるように
   すること報告があった。
    

    さらに、合併協議会の広報紙について、平成22
   年2月1日に発行される両市の広報紙に合わせて
   A32つ折りで4ページ分の印刷物を両市で合計
   22万4千部を全戸配布することが確認された。

  第3回川口市・鳩ヶ谷市任意合併協議会は、

2月8日(月)@川口市役所5階大会議室で10:00
より開催します。
ぜひ、協議会を傍聴してみるのもよいと思います。



2010/01/13

「川口市中小企業活性化推進条例」(案)勉強会


 先月の12月議会に「川口市中小企業活性化推進条例」
(案)が議員提案として提出されました。しかし、議員
運営委員会の中で原案を修正し審議をしましたが、
自民党会派以外の会派からは、慎重審議を求められ、
12月議会での条例案の議決を断念し、「市内中小企業
活性化を推進し市民生活の安定で市政の発展を促す
決議」を採択しました。この決議に伴い、各会派から2名
(経済・文教常任委員会委員ともう1名)を集い、3月議会
同条例案の議決に向けて勉強会を1月12日(火)から
スタートさせました。
 民主党会派からは、唐澤議員としらねが勉強会に参加

しました。
ポイントは以下の通り。
なお、各会派のコメントは
しらねのメモをもとにして作成しましたので、多少
言葉のニュアンスの違いがあることはご了承ください。

◎理念条例(自民)vs.実務条例(民主、共産)公明?

・本市の中小企業(中小企業基本法第2条によるも

 ので、 たとえば製造業その他で資本金3億円以下
 従業員300人以下など)を取り巻く環境は、現下の
 不況で大変厳しいもので、中小企業の街川口では、
 市(民)を挙げて中小企業の活性化を推進するように
 するためにも、各主体の役割と基本的理念を定めた
 条例を議員立法でもつくる必要がある。
 よって各会派共通の賛成意見として、 「川口市中小
 企業活性化推進条例」(案)* <☞下記に「目的」案を
 掲載>を制定させることである。
ただ、今回の勉強会では条例の形態が各会派で議論

なった。 ちなみに、川口市議会初の議員立法である。

<自民党>
-まず、理念条例を何が何でも3月議会までには議決を

 したい。
 この理念条例は、後に行政がつくる実務条例の

 “呼び水” みたいなものである。
-後に続く実務条例案等を自民党は、現在までに考えて

 はいない。
-上記の図表が示す通り、地方自治法により議員が制定
 できる条例議案は、 予算執行を伴わないものである
 ので、理念条例をつくるのである。

<民主党>
-条例の実効性が担保されなければ意味がない

 ので、墨田区や神奈川県などの条例制定の
 ように、実態調査を把握するためにも十分時間
 をかけて、実務的な条例を制定すべきである
-自民党が言うような、予算執行を伴う条例議案は議員

 側から提案できないから理念条例をつくるという事で
 なく、(神奈川県議会などの議員提案をした)条例内に
 「財政上の措置」という形で規定できた実例もある。

<公明党>
-実効性が担保されれば、理念条例だろうが実務的

 (具体的)条例でもどちらでも良い。

<共産党>
-議員が調査できている中小企業者の声は一部であり、

 時間をかけずにあたかも中小企業の全体の意見を
 反映したかのように議員が条例を策定するのは、民
 主主義の性質にそぐわないので、 自治基本条例策定
 のように関係者や市民を巻き込んだ形で時間をかけて
 (実務的な)条例を制定すべきである。


川口市中小企業活性化推進条例(案) 1月12日現在:

(目的)
第1条 この条例は、本市における中小企業者の果たす

役割の重要性にかんがみ、中小企業者の事業活動の
活性化の推進に関し、基本的理念を定めるととともに、
市、中小企業者、関係団体及び市民の役割を明らかに
することにより、中小企業者が製造または販売する
物品、中小企業者が提供するサービス及び中小企業者
が行う工事等(以下「中小企業製品等」という。)に
対する需要の増進を図り、中小企業者の事業活動の
活性化を促し、もって地域産業の振興及び市民生活の
向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 <省略>
(基本理念)
第3条 <省略>

 ←市、関係団体及び市民、中小企業者による
   役割と連携強化に向けての努力規定が
   述べられている
(市の役割)、(中小企業者の役割)、(関係団体の

役割)、 (市民の役割)
第4条 ~第7条 <省略>
附則
この条例は、平成22年4月1日から施行する

コメント:
大都市では初めて(1979年)中小企業振興条例を制定

した墨田区の担当課長からの条例制定プロセスに
ついてのコメントで、墨田区では制定前年に「中小零細
企業振興基本条例(案)」の議員提案(理念条例)が
あったが、実効性のあるものにしていこう(実務条例)と
いう方針になり、翌年に行政側から振興条例を議会に
提案され議決されたとのことです。ただ、議員提案が
された時でも、 条例提案する前1年間約9,000件にも
及ぶ製造業の実態調査を行うなど、どの産業が疲弊
しているのかなど十分な調査と分析を行った上で理念
条例を提案したとの事です。
 行政側からの新たに提出された条例ポイントは、
「中小企業の振興施策の大綱を示し、…具体的にその
内容を担保するために、区長の責務(財政的措置等)
各主体者の努力・協力を明示したとで、条例の趣旨
実現させて」いることです。
 よって、やはり実効性があるものにするためにも、

実態調査・分析を行った上で条例を制定すべきと
考えます。

2010/01/07

川口市・鳩ヶ谷市任意合併協議会がはじまりました。









  昨年の12月24日に、「第1回川口市・鳩ヶ谷市任意
合併協議会」が開催されました。川口市・鳩ヶ谷市両市
から市長、副市長、市議会議員、行政関係部署を代表
して各市13名ずつ出席し、「鳩ヶ谷市の編入合併による
合併」があらためて確認され以下の内容が報告され、
確認協議をしました。


 任意合併協議会
(法律に基づかないもので両市の課題点の抽出や
検討等を協議し、法定協議会の前段として位置付けられている。)の目的は、

両市の合併に関し合併の是非も含め
①合併に関する事項、

②合併基本計画に関する事項、
③その他両市の合併に関し必要な事項を協議すること
 としています。
 任意合併協議会委員の構成として、両市から行政の

代表として市長・副市長・職員の3人。議会代表として
議長と議員4人(自民、民主、公明、共産)。市民の
知識経験者4人の12人と学識経験者2人の計26名で
構成されています。
 また、合併協議会事務局は、川口市のリサイクル

プラザ内に設置されました。職員は両市から派遣された
7人で組織され、合併協議に関する調査・会議の運営、
県及び両市間の連絡調整等を行います。
 さらに、任意合併協議会予算では、合併協議会専用の

ウェブサイト維持管理費、協議会だより(全戸配布)等の
支出分を平成21年度で2市合計711.1万円の12月両市議会
で補正予算を議決した内容が議決され計上されました。
 加えて、今年度は任意協議会を計5回を予定して
おり、第2回を1月18日(月)川口市役所で10時からの
開催であります。

~合併協議までの主な経過説明~ (参考:鳩ヶ谷市役所・

                                   「合併情報」)

◆H21.12.24 川口市・鳩ヶ谷市任意合併協議会設立会

          及び第1回任意合併協議会を開催。
◆H21.12.18 川口市議会において、任意合併協議会

         設立が決議。
◆H21.12.11 鳩ヶ谷市議会において、任意合併協議会

         設立が決議。
◆H21.11.30 川口市・鳩ヶ谷市任意合併協議会設立

         準備会が開催。
◆H21.11.26 川口市から鳩ヶ谷市へ「任意合併協議会

         設立の申し入れ」に対する回答(任意協
         設立準備委員会を設置し、合併協議の
         準備をしたいとする内容)。
◆H21.11.17 鳩ヶ谷市から川口市に「任意合併協議会

         設立の申し入れ」がある。
◆H21. 7. 1  川口市から任意合併協議会を年内に立ち

         上げたいとの意向を表明。 
◆H21. 1.30 鳩ヶ谷市から川口市に「合併協議の

         申し入れ」があり、合併問題について
         公式的な協議がスタート。(本年4月に、
         公式的に、両市の合併にあたり事務的
         協議がスタート)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆H16.9.29 県に対し、合併協議会の廃止を届け出。

  ☞第10回開催で9月30日をもって川口市は協議会
    から離脱を表明
◆H15.12.24~H.16.811 3市による法定合併協議会設立

  →第9回開催目で新市名称「武南市」に不本意ながら
   にして決定。
    ←このやり取りが、合併の破たん原因とされている。
◆H14.12.26 川口市、鳩ヶ谷市、蕨市合併協議会が設立。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆S.58.11 埼玉県南5市まちづくり協議会発足

   ☞その後、戸田市が合併構想から離脱(H.14)。




しらねからのコメント:川口市にとって合併のメリットはなにか?という

             質問をよくされることが多いです。財政面では、両市
             の決算カードや財務諸表を見ればわかります。
             川口市も鳩ヶ谷市も、将来負担比率の健全化判断
             比率では、111.4%に対し96.4%、実質公債費率は、
             13.3%に対し9.0%と、これらの指標を使うと
             鳩ヶ谷市の方が財政状況はよく見えます。
             ただ、退職金制度の違いなど、そもそも制度が
             異なれば、このような数値で一概に比較すること
             はできないのも事実です。
              たとえば道路や歩道の補修のときに、市境の
             場所ではどちらの行政区で工事を行うかなど
             対応が消極的になりがちになることがよく見受け
             られます。川口市の地形はドーナツ型で、その内側
             にあるのが鳩ヶ谷市である現状は両市にとっても
             都市計画がしづらいのも事実で、結局非効率な
             計画や行政運営をしなければなりません。
              ですので、地理的条件からくる非効率な行政運営
             を解消させるためにも合併は必然的なものと考え
             ます。
              

2010/01/01

2010年 明けましておめでとうございます。

 2009年から2010年へと、また新しいページが開かれ
ました。今年も、しらねは現場の声を聞きながらも、
「木を見て森を見ず」にならないように、視野を広げて
市政活動をして参ります。
 昨年は、1993年以来の民主党を中心とした
政権交代が起こり、鳩山「新」政権が誕生するなど、
世界的にも激動の1年となりました。
 海を越えると、バラク・オバマ氏がアメリカワシントン
D.C.で正式に第44代米国大統領に就任し、また
ノーベル平和賞を受賞する一方、アフガニスタンへの
増派(surge)を決めるなど日本への影響(海兵隊の
中継基地となるのが沖縄の米軍基地)も必至であり
ます。また、鳩山総理は、就任直後の国連総会の
一般演説で、主要国の参加による「意欲的な目標の
合意」を前提に日本は2020年までの中期目標として、
1990年比25%の温室効果ガス排出量削減を宣言
しました。これは、環境分野で日本が世界をリードして
いく事を宣言したと言えます。
 一方、鳩山内閣は12月30日に発表した、

「新経済成長戦略」~輝きある日本~で、
2020年までに名目GDPを現状の約473兆円から
650兆円超に、さらに名目GDPが実質GDPを
上回るようにすることと、失業率を3%台に低下
させる事を決定しました。
 基本方針の特長としては、日本の強みを活かした、
「環境・エネルギー」分野では、固定価格買取
制度で太陽光や風力などの再生可能エネルギー
の普及と次世代カー蓄電池などの革新的技術
の開発を前倒しします。具体的数値目標では、
新規市場50兆円超、新規雇用140万人、さらに日本
の技術で世界の温室効果ガス排出量13億㌧削減を
設定しています。「医療・介護」分野では、ジェネリック
薬品や再生医療の研究促進、またバリアフリー住宅
の促進をし、280万人の雇用創出を目標としています。
「観光立国・地域活性化」分野では、中国人などの
アジア諸国から訪日観光ビザの取得容易化をする
ことで、訪日外国人を2020年初めまでに2500万人
にし、経済波及効果を約10兆円、新規雇用56万人
と設定しています。「科学・技術」では、行政サービス
ワンストップ化やイノベーション創出のための
制度・規制改革をすることで、官民の研究開発
投資をGDP比4%以上の数値目標とし、世界を
リードするグリーン・イノベーション(環境・エネルギー
分野革新)ライフを目指します。「雇用・人材」分野
では、幼稚園と保育園行政の一元化をすることで、
待機児童問題の解消、また、若者フリーター約半減、
ニート減少、女性M字カーブ解消を目標としています。

 これまでと大きな違いは、自民党政権時代では、

モノやサービスを提供する企業などサプライサイド
成長を促し、また公共事業等のハコモノにより
雇用を生み出す成長戦略を描いてきました。
民主党政権では、成長戦略策定会議(議長・鳩山
首相)がまとめる新戦略では、こうしたサプライ
サイドから、新たな需要(市場)を作り出して
新成長戦略へ転換を図ります。

 翻って本市に目を向けますと、現在編成中である
来年度予算は昨年に引き続き厳しい状況であると
しています。法人税収では、昨年度よりも大幅な落ち
込みが予想され、再来年度に至っては、さらに厳しい
といわれています。政権交代後、地方にとっても初の
予算編成で、民主党のマニフェストでは「地方主権を
確立するために、基礎的自治が対応可能な事務事業
の権限と財源を大幅に移譲することや従来の
(ひもつき)補助金に変えて地方が自由に使える
「一括交付金」の交付にする<2011年度予算から
実施>」など、国の予算編成で抜本的な変化が起こる
ものに地方としても対応しなくてはならないと、方針書
で述べています。これを踏まえて、本市では地方の
裁量範囲の自由度は拡大しますが、地方の責任の
明確化が求められる中、来年度の市税の大幅減収
が見込まれることから、扶助費などの義務的経費
についても聖域化せず積極的な見直しをすると
言明しています。
 ただ、単年度で見ると、ついに本市でも公債費
(市が道路、公園をはじめとした社会資本の
整備に充てるために借り入れた市債<借入金>
を返済する費用)が市債を越えてしまう状況に
なると予想されます。
既成事業を本市でもカットしなければならない事態を
考慮すると、やはり本市でも外部からの事業に
対する行政評価(外部評価制度)を導入すること
当然であり、さらに他の自治体でも行われている
事業仕分けなどを導入することで、「行政がやらなけれ
ならない・やる必要がない仕事」を真剣に議論をしな
ければならないと、しらねは12月議会で一般質問で
提言をしました。

     <来年度の当初予算の見通し>

・ 歳入の見通しとして、景気回復の遅れにともなう
 企業収益の減少などから、市税収入で約17.8
億円、前年度比2.1%の減を見込み、臨時財政
対策債*(本来の交付税措置と同等額までの市債が
起こせるもの)は昨年度同額(今年度9月補正までで
約50億円)を見込み、引き続き財政調整基金からの
切り崩しで歳入不足を補てんする方向が予想される。
 また、歳出の見通しとしては、扶助費の伸びも依然
予想されることながら、枠配分方式(各部局に一般財源
<使えるお金の>の枠を示し、自主的に予算案を策定
する)で配分超過は絶対に認められないとしている。
ただ、重要事業については財政課と個別査定も認めて
いる。

 コメント:政府が発表した2010年度予算案では、財源不足の補てん
      である地方交付税などは1.1兆円の増額を決定したが、
      本市は不交付団体なので直接交付税の対象行政区には
      あたらない。ただ、上記の臨時財政対策債*の枠が拡大
      する可能性はあるが、結局は借金ができる枠が拡大
      するだけで、財源不足の根本的な問題が解決する
      わけではない
       ところで、決算審査特別委員会の勉強会で思うことは、
      議員が特に決算審査で注視しなくてはならない項目と
      言われる、決算書の「13節委託料」、「19節負担金、補助金
      及び交付金」というところがある。特に、市が100%出資して
      いる外郭団体<(財)川口総合文化センター(約4.7億円の
      委託料に対して約7000万円の収入しかない)、(財)川口
      学校給食協会(5人しかいない職員に対し年間約800万円が
      市の補助金から支払われている)など>11団体に突出して
      いる委託金額や補助金額を市から拠出しているのが現状だ。