4年間の市議会議員時代に小生はほぼ毎回議会の一般質問で、市当局に調査して見えてきた課題を指摘し、その課題解決に向けて提案をしてきました。その中で、市内外をはじめとする交通体系の抜本的見直しやコミュニティバス路線等の再編ならびに新しい交通システムの導入の可能性について検討する「川口市都市交通体系検討会」等の協議会を設置するという答弁を理事者(市長)側から引き出し、ようやく今月の30日から同検討会(大学教授と各会派の議員などで構成される予定)が開催されることになり、まさに交通アクセスの充実に向け大きな第一歩となります。
以前は、市議会の議会質問をみても「○○という地域と○○の場所を結ぶバス路線の増便をバス事業者に市当局からお願いしてほしい」などのような質問ばかりで、市内全体の交通路線網については議論されていませんでした。
というのも、これまではバスなどの路線についてはバス事業者にお任せしており、行政においては国土交通省の行うパーソントリップ調査を参考にするくらいで、市や県など自治体単独で市内近郊の交通体系調査等はほとんどしておらず、交通分野においての需要予測や市民ニーズ調査などのマクロ的な視点から適切な各交通輸送モードに落とし込む等等のようなミクロ的視点で計画がされてきませんでした。
では、下記の図と表が示すように、現在市内を走行するバス路線数は100をも超えますが、路線経路が重複し恒常的にバスが数珠繋ぎになってしまい結果的に定時制が確保されなかったり、また路線数の割には便数が少ないなどの諸問題が生じるわけです。
↑↓ 便数も確かに多いが、それ以上に同じ路線に複数の系統のバスが混在して、
非効率な運行をしている!これでは、徒歩や自転車で駅に行ったほうが早い!
また、市民の駅利用がSRをあまり利用せず、JRに集中し過ぎてしまっているのも
この表から読み取れます。
小生の議会活動の都市交通に関して、足立区、港区、渋谷区、富山市、さらには新潟県の三条市などの先進的都市に視察し、本市と人口規模が似ている足立区の独立採算制によるコミュニティバス運営などの成功事例を紹介し、そこまでに至るプロセス(協議会の設置や各主体の役割分担など)や本市における交通体系網の問題点(以下を参照)などを厳しく指摘をしてきました。さらに、課題解決に向けまず国が行う交通流動のパーソントリップ調査に基づき、市内の交通体系を見直すため、現在の交通体系調査や市民ニーズの調査の実施を提言して、昨年度に同調査が実現されましたが、今回の検討会でそれが十分に反映されることを願います。
では、なぜ小生が交通体系にそこまでこだわるかは、「鉄道などの交通網の充実は街を形成する」と考えるからです。かつて田園一体であった東急東横・田園都市線などの私鉄沿線地域はまさに鉄道の開通と周辺地域の開発により発展し、賑やかな街が形成されてきた歴史があります。また、交通網の充実は、ヒトの移動で往来が激しくなり街の活性化や市内の商業も発展することに繋がります。
ここで気になる数字がありますが、総務省が今月7日にリリースした、住民基本台帳に基づく2011年3月末現在の人口動態調査では、埼玉県の出生者数と死亡者数の差である自然増減が、初めて減少に転じているとのことです。転入者と転出者の差である社会増減の増が大きかったため、全体的には増加に転じていますが、少子高齢化に伴いまた、「都心回帰」傾向が強い若年世代からの動向を見ると、職場や学校などへの交通アクセスは居住地を選択する上で重要な選択肢であり、川口都民が多い本市からすると交通アクセスの充実が不十分でありますと、他の地域に人が移動してしまう不安も潜在しています。
たとえば、渋谷ヒカリエの誕生で賑わいを取り戻しつつある渋谷でありますが、同地域の再開発を牽引している東急電鉄によると、2013年3月には東急東横線の新渋谷駅が開業し、横浜方面から来る東横線と副都心線が渋谷駅で直結し、さらに埼玉の南西部に位置する和光・所沢も経由し川越や飯能まで相互乗り入れを開始するとのことです。
↓出典:「みんなの経済新聞」より
都心への移動手段として電車がよくストップしてしまう京浜東北線や武蔵野線ではありますが、JRとの接続が不十分な地下鉄では市民は利用せず、どうしてもJRに集中してしまうなど川口市の交通諸課題が解決されなければ、都心に隣接しているるにもかかわらず、行きたい場所にすぐに行ける交通アクセスがないなど、居住しずらい環境の都市となり、他の地域へヒトが流出してしまうのではないかと不安を覚えます。
つづく・・・
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