2010/01/01

2010年 明けましておめでとうございます。

 2009年から2010年へと、また新しいページが開かれ
ました。今年も、しらねは現場の声を聞きながらも、
「木を見て森を見ず」にならないように、視野を広げて
市政活動をして参ります。
 昨年は、1993年以来の民主党を中心とした
政権交代が起こり、鳩山「新」政権が誕生するなど、
世界的にも激動の1年となりました。
 海を越えると、バラク・オバマ氏がアメリカワシントン
D.C.で正式に第44代米国大統領に就任し、また
ノーベル平和賞を受賞する一方、アフガニスタンへの
増派(surge)を決めるなど日本への影響(海兵隊の
中継基地となるのが沖縄の米軍基地)も必至であり
ます。また、鳩山総理は、就任直後の国連総会の
一般演説で、主要国の参加による「意欲的な目標の
合意」を前提に日本は2020年までの中期目標として、
1990年比25%の温室効果ガス排出量削減を宣言
しました。これは、環境分野で日本が世界をリードして
いく事を宣言したと言えます。
 一方、鳩山内閣は12月30日に発表した、

「新経済成長戦略」~輝きある日本~で、
2020年までに名目GDPを現状の約473兆円から
650兆円超に、さらに名目GDPが実質GDPを
上回るようにすることと、失業率を3%台に低下
させる事を決定しました。
 基本方針の特長としては、日本の強みを活かした、
「環境・エネルギー」分野では、固定価格買取
制度で太陽光や風力などの再生可能エネルギー
の普及と次世代カー蓄電池などの革新的技術
の開発を前倒しします。具体的数値目標では、
新規市場50兆円超、新規雇用140万人、さらに日本
の技術で世界の温室効果ガス排出量13億㌧削減を
設定しています。「医療・介護」分野では、ジェネリック
薬品や再生医療の研究促進、またバリアフリー住宅
の促進をし、280万人の雇用創出を目標としています。
「観光立国・地域活性化」分野では、中国人などの
アジア諸国から訪日観光ビザの取得容易化をする
ことで、訪日外国人を2020年初めまでに2500万人
にし、経済波及効果を約10兆円、新規雇用56万人
と設定しています。「科学・技術」では、行政サービス
ワンストップ化やイノベーション創出のための
制度・規制改革をすることで、官民の研究開発
投資をGDP比4%以上の数値目標とし、世界を
リードするグリーン・イノベーション(環境・エネルギー
分野革新)ライフを目指します。「雇用・人材」分野
では、幼稚園と保育園行政の一元化をすることで、
待機児童問題の解消、また、若者フリーター約半減、
ニート減少、女性M字カーブ解消を目標としています。

 これまでと大きな違いは、自民党政権時代では、

モノやサービスを提供する企業などサプライサイド
成長を促し、また公共事業等のハコモノにより
雇用を生み出す成長戦略を描いてきました。
民主党政権では、成長戦略策定会議(議長・鳩山
首相)がまとめる新戦略では、こうしたサプライ
サイドから、新たな需要(市場)を作り出して
新成長戦略へ転換を図ります。

 翻って本市に目を向けますと、現在編成中である
来年度予算は昨年に引き続き厳しい状況であると
しています。法人税収では、昨年度よりも大幅な落ち
込みが予想され、再来年度に至っては、さらに厳しい
といわれています。政権交代後、地方にとっても初の
予算編成で、民主党のマニフェストでは「地方主権を
確立するために、基礎的自治が対応可能な事務事業
の権限と財源を大幅に移譲することや従来の
(ひもつき)補助金に変えて地方が自由に使える
「一括交付金」の交付にする<2011年度予算から
実施>」など、国の予算編成で抜本的な変化が起こる
ものに地方としても対応しなくてはならないと、方針書
で述べています。これを踏まえて、本市では地方の
裁量範囲の自由度は拡大しますが、地方の責任の
明確化が求められる中、来年度の市税の大幅減収
が見込まれることから、扶助費などの義務的経費
についても聖域化せず積極的な見直しをすると
言明しています。
 ただ、単年度で見ると、ついに本市でも公債費
(市が道路、公園をはじめとした社会資本の
整備に充てるために借り入れた市債<借入金>
を返済する費用)が市債を越えてしまう状況に
なると予想されます。
既成事業を本市でもカットしなければならない事態を
考慮すると、やはり本市でも外部からの事業に
対する行政評価(外部評価制度)を導入すること
当然であり、さらに他の自治体でも行われている
事業仕分けなどを導入することで、「行政がやらなけれ
ならない・やる必要がない仕事」を真剣に議論をしな
ければならないと、しらねは12月議会で一般質問で
提言をしました。

     <来年度の当初予算の見通し>

・ 歳入の見通しとして、景気回復の遅れにともなう
 企業収益の減少などから、市税収入で約17.8
億円、前年度比2.1%の減を見込み、臨時財政
対策債*(本来の交付税措置と同等額までの市債が
起こせるもの)は昨年度同額(今年度9月補正までで
約50億円)を見込み、引き続き財政調整基金からの
切り崩しで歳入不足を補てんする方向が予想される。
 また、歳出の見通しとしては、扶助費の伸びも依然
予想されることながら、枠配分方式(各部局に一般財源
<使えるお金の>の枠を示し、自主的に予算案を策定
する)で配分超過は絶対に認められないとしている。
ただ、重要事業については財政課と個別査定も認めて
いる。

 コメント:政府が発表した2010年度予算案では、財源不足の補てん
      である地方交付税などは1.1兆円の増額を決定したが、
      本市は不交付団体なので直接交付税の対象行政区には
      あたらない。ただ、上記の臨時財政対策債*の枠が拡大
      する可能性はあるが、結局は借金ができる枠が拡大
      するだけで、財源不足の根本的な問題が解決する
      わけではない
       ところで、決算審査特別委員会の勉強会で思うことは、
      議員が特に決算審査で注視しなくてはならない項目と
      言われる、決算書の「13節委託料」、「19節負担金、補助金
      及び交付金」というところがある。特に、市が100%出資して
      いる外郭団体<(財)川口総合文化センター(約4.7億円の
      委託料に対して約7000万円の収入しかない)、(財)川口
      学校給食協会(5人しかいない職員に対し年間約800万円が
      市の補助金から支払われている)など>11団体に突出して
      いる委託金額や補助金額を市から拠出しているのが現状だ。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「女性のM字カーブの解消」について質問です。

女性のM字カーブを、なぜ解消する必要があるのでしょうか。むしろ喜ばしい事態ではないのでしょうか?
子供を産んでさぁ育てるぞと意気込んで、仕事を辞めていった女性達を、どうして社会に引きずり戻す必要があるのでしょうか。

子育てに忙しい30代女性達が仕事をしなければならない理由は、旦那さんの給与が満足できず、将来や実生活に不安があるからです。

つまり、旦那さんの給与が十分に高ければ、女性は無理して働かなくても良いのです。
仕事が大好きで、どうしても続けたいと願う女性を除けばですが。

女性の社会進出は当然の権利です。しかし、子供を産んで自分の手でしっかり育てることも当然の権利です。

女性のM字カーブ解消とは、「会社に育児休暇を取らせる」という処置でしょう。
しかし、会社側としては、せいぜい1年くらいしか育児休暇を与えることはできません。5年も6年も休み続けられては困るのです。

(たまに、2人目、3人目と続けて出産し、見事に育児休暇を取得して3年4年と休み続ける方もいます。相当な覚悟です。周りからは、当然良い目で見られません)

また、育児休暇ですが、たかが1年の育児休暇の末に、1歳で保育所に預けられる子供の運命はどうなのでしょうか。

母との時間より、保母さんとの時間の方が長い子が将来大人になったとき、自らが親として生きていくことはできるのでしょうか。

「女性は子供さえ産めば良い。育てるより働け」という社会になりはしないかと心配です。

子供を産んだ女性が社会から撤退してゆくのは、ある意味正しい姿なのです。親として、母としての役目を責任もって果たしているのです。

一度正社員を離れた女性は、非正規社員としてしか採用されない事実があります。しかし、むしろそれを望む女性達も多くいます。正規でがっつり働く女性が、家でも家事育児をがっつりこなさなければならないなど、こんな過酷な条件が飲める女性はあまりいません。

女性のM字カーブを、それほど悲観する必要はないのではないでしょうか。

D さんのコメント...

匿名さんコメントありがとうございます。
しらねです。本年もよろしくお願いします。

匿名さんが言うとおり、「女性の社会進出は当然の権利です。しかし、子供を産んで自分の手でしっかり育てることも当然の権利」です。ですので、今まで前者への対応が企業側からしっかりとした権利として女性従業員に付与されてきたのでしょうか?当然、企業努力はするとは思いますが、実態はそうではないケースが多いのです。だから、市場では解決できない問題、つまり女性の社会進出の権利を政府が保障するということだとしらねは考えます。
 ただ、仕事に精を出し、子育てを放棄することは絶対にあってはならないと思いますが、夫婦で協力して子どもを育てられれば子どもは父母からの両方からの愛情をもって育てられるのですから、とてもよいことだと思います。“父は外で、母は内で”という固定観念が本当に良いのか、考えているところです。
 また、「30代の男性給与が少ないから、女性が働く」ということ、つまり所得の世代間格差が日本の社会的構造(賃金、雇用体系)により発生しているから、「子ども手当」という考え方が生まれてくるわけです。
 
 

匿名 さんのコメント...

お返事ありがとうございます。上記の匿名です。

しかし、Dさんのお返事は答えになっていないのでがっかりしております。

女性は家で、男性は外でという固定概念をはずして…という考えですが、私は未だかつて、育児休暇を取得した男性社員を、見たことがありません。聞いたこともありません。

男性の育児休暇制度は、ひょっとしたら各会社にあるのかもしれません。

しかし、実際にDさんが企業の社員だとして、一プロジェクトの主任だとして、育児休暇は当然の権利だと1年会社を休むことはできますか?

明日、重要な会議がある時に、子供を保育園から迎えに行かなければならないからと、15時で帰宅することができますか?

Dさんがお休みする間、回らない仕事を誰かにやってもらわなければなりません。しかし、Dさんの仕事を代りにやってくれる人とは誰でしょう。その人が自分の仕事を完全にこなし、さらにDさんの代りを完全に勤めることができるなら、Dさんは会社にとって重要ではなくなるのではないでしょうか。

男性の育児休暇取得という概念は、そもそも日本の風土に合っていないのではないかと思います。

他国には、昼休みを2時間取る国もあります。1日の実労働時間がたったの3時間で経済が回る国もあります。
日本が、これらの国と同じ価値観で動くことができるかといえば、間違いです。

他国の良いところを見習おうとするのは良いのですが、それが本当に日本の風土に定着するかどうか、よく考えなければ先へ進むことはできないのではないでしょうか。